地域のニーズに根差したソリューションを
サツマイモ基腐病の打破に向けて
バイエル クロップサイエンス株式会社
営業本部 九州営業所
第二営業グループ
北村 直之
サツマイモの大敵。基腐病
サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)は、Diaporthe destruens(ディアポルテ・デストルエンス)という糸状菌がサツマイモに感染すると発生する病気で、鹿児島県では2018年に発生が確認されました。感染したサツマイモは生育不良や萎れが生じ、塊根(イモ)が暗褐色や黒色に変色して腐敗し、多発すると収量が大幅に減少する病気です。
2016年には32万トン以上だった鹿児島県のサツマイモ生産量が、2021年では20万トンを切るまで被害が拡大しました。基腐病により収穫量が減少したことに加え、作付けしても収穫がままならないため、栽培そのものを休止してしまう農家さんも多くいらっしゃいました。農家さんは、この基腐病が過去に経験したことのないほど被害が大きな病気だったため、種芋、苗床、苗、本圃の準備に加え、栽培中の管理、収穫後の残渣除去と、今までにないほど多大な労力とコストを費やし、気を使って栽培しなければならなくなりました。
基腐病の被害により、農家さんの収益が減少したことはもちろん、サツマイモを原料としてお菓子や焼酎を作る加工業者さんへの供給不足が生じ、一時的に商品の提供を見合わせるなど、深刻な問題となりました。
基腐病は、サツマイモを栽培する過程の至る所に感染源が潜んでいるため総合防除が必要とされています。さまざまな対策を単独で実施しても十分な防除効果は得られないため、防除の基本は基腐病菌を「持ち込まない、増やさない、残さない」よう、総合的に対策を実施することが重要です。伝染の環を遮断するための対策を、総合的かつ適切に実施することで基腐病の発生を減らすことができます。
基腐病対策に希望の光
この基腐病の課題を解決するため、2023年2月に「フリント®フロアブル25」が適用拡大されて基腐病防除に使用できるようになりました。「フリント®フロアブル25」はバイエルが20年以上にわたり全国で展開してきた実績のある総合防除殺菌剤です。「フリント®フロアブル25」を全面散布土壌混和処理することにより、土壌中の基腐病菌の密度を低減させる効果があり、これにより植付された苗を基腐病菌から守ることができます。
私も長年、「フリント®フロアブル25」の販売に携わってきましたが、厄介な基腐病の解決策になるとは、本当に驚きでした。適用拡大されてから、実際に農家さんの圃場に行って、一緒に色々と意見交換しながら使っていただきました。どうなるかと半分ワクワク、半分ドキドキでしたが、実際に、ご使用いただいた農家さんから、「ようやくこれで、サツマイモをまた作ることができる。一安心だよ」、「助かったよ、ありがとう」と感謝と喜びの声をたくさんいただきました。営業として、これほど嬉しいことはないですね。まさに、農家さんの課題を解決できた瞬間です。
サステナビリティに貢献
「フリント®フロアブル25」を基腐病防除に使用する場合、希釈倍率10倍では使用液量が4L(10アールあたり)と少なくてすみます。農家さんは薬剤を水に希釈して使用しますが、その際に使用する水の量も従来と比較して少なくなります。また、ドローンを用いて処理することにより、散布時間の短縮も可能です。使用液量の削減とあわせて効率よく防除を行うことができます。
バイエルの製品は、品質の高い農産物を安定的に収穫できるよう農家さんに貢献していると思います。まさに「より良い収穫を、より少ない資源で」です。「フリント®フロアブル25」は農家さんがサツマイモの栽培を効率的かつ安心して続けられる一翼を担っていると思います。