わたしたちのストーリー
わたしたちのストーリー

「Health for all, Hunger for none
(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」の
ビジョンのもと、
日本の農業を持続可能にするため
イノベーションを起こし続ける、
私たちのストーリーをお届けします。

開発本部 圃場試験センター部 東日本圃場試験室 岡田 浩一

明日の農業を切り開くため
開発現場に密着

バイエル クロップサイエンス株式会社
開発本部 圃場試験センター部
東日本圃場試験室
岡田 浩一

最優先である安全性に加え、必要な視点

新規農薬が市場に出るまでの開発には約10年を要します。また、多くの候補化合物の中から、農家さんの手元に届くのはほんの一握りです。

その過程で最も注視されるのはヒトへの安全性です。どんなに効果が高くても短期のみならず、中長期でも安全性が確認できないものを市場に出すことはできません。バイエルはこの基準を各国で定められている基準より高く設けています。また同時に、環境に対する安全性についても厳しく評価します。例えば圃場試験では害虫を捕食するカブリダニといった有用昆虫への影響も開発の早い段階から検証します。

もちろん、新規農薬の有効性についても圃場試験を通して様々な角度から評価します。例えば、開発の初期段階ではラボで有効性を確認できたものが圃場で同じように効果を発揮するかを、そして開発が進むにつれて適切な薬量設定や製剤、散布方法などを検証していきます。その際に、農家さんがどのようなメリットを感じられるかという「剤のポジショニング」の視点を初期の段階から持つことは重要です。単独でその農薬の有効性に着目するのではなく、どのような使い方ができるのかということが農薬の価値を決めていきます。

デジタルツールとのコンビネーションで使用法の幅を広げる

現在、力を入れているのが、ドローンや農業用無人車R150を活用した省力散布を実現する新たな散布方法の検証です。これらを少しでも早く農家さんにお届けするため、新規有効成分を用いた製品開発だけではなく、既存の農薬をどのように使用するのが安全かつ有効か実験を重ねています。

ドローン散布では、速度や高度に加え、液滴の大きさなど複数のパラメーターが散布パターンに影響します。そのため、モベントフロアブルやナティーボフロアブルなどの自社薬剤をドローン散布へ適用拡大する際、葉菜類・かんきつへの最適な散布条件の検討のため、200回近くの飛行試験を実施しました。

一方で、農業用無人車R150はノズル角度の自由度が高いことが特徴で、葉菜のキャベツなど地表に向けて散布することも、梨やぶどうなど棚立て作物防除のため上に向けて使用することも可能です。水平・垂直方向の走行速度、ノズルの液滴量などの設定について、効果を発揮しながら薬害を防げるのか、約100パターンの試験をしました。

ドローンやR150の試験は、これらツールの活用法を見極めていくものであり、新規農薬を開発するプロセスとは全く異なります。一つ一つの検証を丁寧に重ねることが最適な使用法の開発につながります。現在では、これらデジタルツールを活用した試験が全体の3割を占めるようになりました。

イノベーションの追求がサステナビリティを実現する

バイエルはソリューション提供カンパニーです。ただ新規農薬の開発をするのではなく、エンドユーザーである農家さんが現場でどのように使用するかまでの解決策をイメージして開発することがわたしたちの役割です。農薬もテクノロジーの賜物ですが、それに新しい技術を掛け合わせることがイノベーションであると考えています。

水田雑草テーラーメイド防除や種子処理をはじめとするイノベーションは省力化という点で日本の農業を持続可能にするサステナビリティに貢献します。新しい技術に実際に“触る”ことでより深く知ることができ、既存の農薬との組み合わせを具体的にイメージして開発につなげています。「バイエルの製品で助かった」ではなく、「バイエルがいてくれて助かった」と農家さんに言われることが開発担当者である私の目指すところです。

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