福島農園 福島 様
■エリア : 鳥取県 ■品種 : ひとめぼれ、きぬむすめ、つきあかり 【 水稲 約30ha/うち直播水稲 約7ha 】

2026年4月に法人化し、株式会社福島農園を設立した福島さん(写真中央左)。法人化を機に長女夫婦(写真右・中央右)と長男(写真左)が就農し、新たな経営体制を築いた福島農園。直播栽培に取り組んで6年目。複数品種を組み合わせた作期分散や、ドローンを活用した省力化、そして昨年の失敗を経て見据える直播栽培の次の形とは。

※掲載のインタビューは2026年に取材した内容です。

作業分散のため複数品種栽培や
直播・移植栽培を併用しています。

移作業分散のため2月に種子処理剤を塗沫し病害虫に備える。
福島農園では、年々栽培面積や受託作業も増加している為、色々な作業が重なってしまいます。作期が重ならないよう早生から晩生まで複数品種を組み合わせた栽培を行っています。コシヒカリなどの他に、最近は高温に強く多収な業務用米のZR1、晩生で安定した収量が期待できるやまだわら、早生品種のつきあかりなど、多彩な品種構成が特徴です。育苗は約6,000枚を自家で行い、直播栽培と移植栽培を組み合わせた経営を進めています。 このうち直播栽培は、ひとめぼれときぬむすめをそれぞれ3ha、つきあかりを1haで実施。品種特性を踏まえながら、作業分散と安定生産の両立を図っています。作業期間分散のため2月下旬に、ヨーバル®シードFS剤、ルーチン®シードFS剤、エバーゴル®シードFS剤を使用し、病害虫に備えています。昨年は、つきあかりで再生二期作にも挑戦し、約100kg/10aを収穫。食味も良好で手応えを感じており、今年も継続する予定です。
移作業分散のため2月に種子処理剤を塗沫し病害虫に備える。
育苗の様子。約6,000枚を自家で行っている。
再生二期作で収穫されたつきあかり。

ドローンの省力性を特に実感するのは、
追肥作業です。

播種前の準備をする長男と長女。
省力化を目的にドローンを導入したのは4年前。播種、農薬散布、追肥にドローンを活用していますが、中でも最も効果を実感しているのが追肥作業です。動噴を背負って圃場を歩きながら施肥していた頃と比べると、作業負担は大きく軽減されました。近年は高温化が進み、作業時の気温も高くなっているため、体力的な負担軽減という点でもドローンの導入効果は大きいと感じています。追肥にはXAG製ドローン「P100 Pro」を使用しています。狙ったタイミングで短時間で効率よく施肥できる点を評価しています。今後は就農した長男・長女もドローンのライセンス取得する予定です。
播種前の準備をする長男と長女。

播種前の準備の様子。飛行ルートなどの確認を行っています。

直播栽培に合わせて、
防除体系も見直しています。

ドローンは追肥だけでなく、防除作業にも活用しています。直播栽培ではこれまで初期剤を処理してきましたが、今年は初期に「カウンシル®コンプリート」を散布し、後半に「ストレングス®」を組み合わせる体系防除を計画しています。「カウンシル®コンプリート」はこれまで移植栽培では使用してきましたが、直播での使用は今年が初めて。直播特有の初期管理の重要性を踏まえ、効果と作業効率の両立を狙った取り組みです。 XAG製ドローンを選んだ理由は、その使いやすさにあります。「P100 Pro」は、散布装置の付け替えがワンタッチで行える点が魅力です。また、P30は除草剤散布やカメムシ防除で使用するなど、用途に応じた使い分けを行っています。

「P100 Pro」による除草剤散布の様子。
体系防除初期に使用するカウンシル®コンプリート。

失敗も糧にしながら、
福島農園は新たなステージへ。

順調に見える福島さんの直播栽培ですが、昨年(2025年)は大きな失敗も経験したそう。コシヒカリときぬむすめの直播栽培に挑戦したものの、管理が行き届かず、ほぼ全面で倒伏が発生。収量は5俵/10a程度にとどまり、大きな反省点となりました。当時は作業の多くを福島さん一人で行っており、管理不足が結果に直結したと振り返ります。しかし今年は状況が大きく変わり、就農した長男と長女夫婦が加わり、作業体制は一気に3人増員。役割分担ができるようになったことで、作業効率が高まり、直播栽培においてもより丁寧な管理が可能になると期待しています。 スマート農業技術の導入も、その後押しとなっています。ドローンやデジタルツールを活用して現場作業を省力化し、そこで生まれた時間を栽培管理や流通管理といった“考える仕事”に充てていきたいと福島さん。特に長男は販売や流通に強い関心を持ち、家族それぞれが得意分野を担当する分業体制が整いつつあります。

「これからは、作ることだけでなく、売ることにも、より一生懸命になりたい」

福島農園が目指すのは、目先の効率化だけではありません。土地を荒らすことなく、農地を農地として次の世代につないでいくこと。その未来のために、これまで積み重ねてきた栽培や経営のノウハウを、息子や娘たちへとしっかり受け継いでいきたいと考えています。圃場管理にはZ-GISを活用し、作業内容や生育状況を社内で共有。情報を「見える化」することで、家族全員が同じ情報をもとに判断し、行動できる体制を整えています。 失敗から学び、人と技術を組み合わせながら、福島農園の直播栽培は新たなステージへと進もうとしています。

作業の合間の姉弟ショット。
作業前の準備について熱心に確認する長女と長男。
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