「バイオスティミュラント資材」とは
目次
- ▶︎バイオスティミュラント資材とは?
- ▶︎バイオスティミュラント資材にはどんな種類があるの?
- ▶︎バイオスティミュラント資材の使用方法
- 「アンビション®︎G2」が属する
「海藻抽出物、多糖類」系のバイオスティミュラント資材とは? - ▶︎「海藻抽出物、多糖類」系のバイオスティミュラント資材について
- ▶︎「アンビション®︎G2」に含まれている有用成分
- ▶︎「アンビション®︎G2」にも使われている海藻「アスコフィラム・ノドサム」とは
- ▶︎有用成分はどのように作物や植物に取りこまれ、作用するのか
- ▶︎まとめ
バイオスティミュラント資材とは?
バイオスティミュラント資材とは、世界中で関心が寄せられている新しい農業資材ジャンルの一つで、高温障害や干害、塩害などの環境ストレスから植物を保護する農業資材です。
栄養素とは異なる経路を通じて植物に作用し、作物本来の力を引き出し、農作物の収量増加や品質改善に貢献します。例としては、活性酸素の抑制、光合成の活性化、開花・着果・根の活性改善などがあげられています。
主な特徴
バイオスティミュラント資材には
どんな種類があるの?
バイオスティミュラント資材には、さまざまなタイプが存在し、それぞれ異なる特性や機能を持っています。以下に主な種類を紹介します。
バイオスティミュラント資材の主な種類
-
腐植酸、フルボ酸
土壌改善・微生物活性で健康な根に
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海藻抽出物、多糖類
環境ストレス耐性を向上
-
アミノ酸
成長の補助とストレス耐性向上
-
微生物資材
根の発育・栄養分吸収の補助
1. 腐植酸、フルボ酸
土壌の有機物から生成される天然の物質で、栄養素の保持能力を高め、土壌の構造改善や微生物活性を高めます。これにより、植物の成長が改善されます。
2. 海藻抽出物、多糖類
海藻は、豊富な多糖類、ミネラル、アミノ酸、ビタミンなどを含んでおり、栄養吸収効率や環境ストレス耐性を改善させ植物の成長をサポートします。特に、ヒバマタ科(アスコフィラム・ノドサムなど)の海藻が広く利用されています。
「アンビション®G2」はこの「海藻抽出物、多糖類」系の資材です。
3. アミノ酸
植物が必要とするタンパク質の構成要素であるとともに、植物の生育活動にも重要な役割を果たします。
4. 微生物資材
土壌中の微生物を利用した資材で、根の発育を助け、栄養素の吸収効率を改善する働きがあります。トリコデルマ菌、根粒菌、バチルス菌などの有用微生物が含まれます。
バイオスティミュラント資材の使用方法
土壌混和・灌注や葉面散布など、さまざまな方法で使用されます。具体的な使用方法や効果は、対象となる作物や栽培環境によって異なるため、適切な選択が求められます。また農薬や肥料と併用できるものもあります。
「アンビション®G2」の使用方法については、
以下のページをご覧ください。
「アンビション®G2」が属する
「海藻抽出物、多糖類」系の
バイオスティミュラント資材とは?
「海藻抽出物、多糖類」系の
バイオスティミュラント資材について
まず、バイオスティミュラント資材において、海藻と多糖類が一つのカテゴリーにまとめられている理由はいくつかあります。以下にその主な理由を説明します。
1. 栄養成分の共通性
- ●多糖類の含有:海藻は多糖類(例えば、フコイダン、アルギン酸、ラミナリンなど)を豊富に含んでいます。これらの多糖類は、植物の成長を改善する物質として機能し、ストレス耐性を向上させる効果があります。
- ●ビタミンやミネラル:海藻はビタミンやミネラルも多く含んでおり、これらの栄養素は植物の健康をサポートします。
2. 有用物質の効果
- ●ストレス応答:多糖類は、植物のストレス応答を助け、環境ストレス(乾燥、高温など)に対する耐性を向上させる効果があります。
3. 土壌改良効果
- ●有機物としての機能:海藻やその抽出物は、土壌に有機物を供給し、土壌の物理的および化学的性質を改善します。多糖類も土壌の水分保持能力を向上させる役割を果たします。
- ●微生物活性の促進:多糖類は土壌微生物の活動を補助し、土壌の健康を改善します。
4. 持続可能性
- ●環境に優しい資源:海藻は再生可能な資源であり、持続可能な農業の観点からも注目されています。多糖類も自然由来の成分です。
5. 広範な応用
- ●多様な利用方法:海藻や多糖類は、農業用バイオスティミュラントだけでなく、食品、医療、化粧品、飼料など多くの分野で利用されています。
これらの理由から、海藻と多糖類はバイオスティミュラント資材の中で一つのカテゴリーとしてまとめられ、植物の成長補助やストレス耐性を改善させる重要な資材とされています。
「アンビション®︎G2」に含まれている
有用成分
フコイダン
アスコフィラム・ノドサムに豊富に含まれる硫酸化多糖類です。
- ●効果:
①作物の品質改善 作物の品質特性(外観、葉数など)を改善させます。
②ストレス耐性向上 非生物的ストレスに対する耐性を高める効果があります。
③土壌微生物活性化 土壌中の有益な微生物の活動を補助し、土壌の健康を改善します。
アルギン酸
褐藻類に豊富に含まれる天然の多糖類で、特に海藻に多く見られます。
- ●効果:
①根の成長補助 根の成長を補助します。
②品質指標の向上 栄養素の利用効率や光合成能力、および果糖蓄積性の改善などにより市場性のある収穫量を増加させます。
③ストレス耐性向上 乾燥、塩害などの非生物的ストレス耐性を向上させます。
ラミナリン
アスコフィラム・ノドサムを含む褐藻類に含まれる貯蔵多糖です。
- ●効果:
①ストレス耐性向上 高温や乾燥、塩害などの非生物ストレス耐性を向上させます。
②成長補助 根の発達を助け、植物の成長を補助します。
「アンビション®︎G2」にも使われている
海藻 「アスコフィラム・ノドサム」とは
北大西洋の冷水域に生息している海藻の一種で、主に海岸の潮間帯に生育し、褐藻の一種に分類されます。
冷たい海水と栄養豊富な環境がアスコフィラム・ノドサムの成長に適しており、バイオスティミュラントとしての効果が高いとされています。極度の環境ストレス下で歳月をかけてゆっくりと成長したアスコフィラム・ノドサムは、豊富な多糖類やミネラル、微量栄養素を含んでおり、植物の成長補助やストレス耐性の向上に寄与することが期待されています。
農業用途において最も研究されている海藻種の一つです。
有用成分はどのように作物や植物に
取りこまれ、作用するのか
低分子で抽出された有用物質や成分は、作物のさまざまな部分から吸収され、作物の成長や品質向上に寄与します。以下に、主な吸収経路とそのメカニズムについて説明します。
-
葉面からの吸収
-
根からの吸収
-
輸送と分配
1. 葉面からの吸収
- ●葉面散布:低分子の有用物質は、葉面に直接散布することで吸収されます。葉には気孔(ストマタ)が多くあり、主にこれを通じて成分が植物内部に取り込まれます。
- ●メカニズム:
①拡散 低分子の成分は、葉の表面から内部に拡散し、細胞内に取り込まれます。
②細胞膜透過 低分子の成分は、細胞膜を通過しやすいため、迅速に細胞内に吸収されます。
2. 根からの吸収
- ●根系からの吸収:低分子の有用物質は、根からも吸収されます。特に水溶性の成分は、土壌中の水分と一緒に根から取り込まれます。
- ●メカニズム:
①浸透 水分と一緒に低分子成分が根の細胞に浸透し、内部に取り込まれます。
②アクティブトランスポート 植物は特定の成分を積極的に取り込むためのトランスポーターを持っており、これを利用して必要な成分を効率的に吸収します。
まとめ
低分子で微細抽出された有用物質や成分は、葉面や根から植物体内に吸収されます。そして植物は必要な栄養成分を効率的に取り込み、成長やストレス耐性を改善させることができます。
「アンビション®G2」とは
北大西洋の低温・乾燥といった厳しい環境下で強いストレス耐性を獲得した海藻「アスコフィラム・ノドサム」から独自の抽出技術により有用物質を高濃度※で抽出したバイオスティミュラント肥料です。※当社品比較
- ●海藻抽出物を48%(w/v)含有しています。
- ●作物の健全な生育に有用な、フコイダン、アルギン酸、ラミナリン等を含有しています。
- ●有用物質を独自製法で微細化しているため、作物への吸収・利用効率に優れます。
海藻「アスコフィラム・ノドサム」
| アンビション®G2 代表分析値*(%w/v) |
|
|---|---|
| フコイダン | 4.05 |
| アルギン酸 | 4.27 |
| ラミナリン | 1.45 |
| マンニトール | 2.80 |
*含有物はアスコフィラム・ノドサム由来の天然抽出物であり、記載の分析値は保証値ではなく、代表値となります。
「アンビション®G2」がもたらす効果
- ●健全な根の発達、作物代謝・光合成を補助
- ●栄養素の吸収と利用効率を改善
- ●環境ストレスに対する作物の耐性を向上
総合的に作物成長を改善し、
収量・品質の向上に寄与
生産者のメリット ー経済性の向上などー
| 作物グループ | 補完メリット |
|---|---|
| 水稲・畑作物 | 非生物的ストレス耐性(高温など) 健全な根の発達、収量 光合成の強化 養分利用効率(多量要素および微量要素) |
| 野菜 | 非生物的ストレス耐性(高温、干ばつ、寒冷) 品質(等級、糖度、果実サイズ、結実) 健全な根の発達、収量 養分利用効率(多量要素および微量要素) |
| 果樹 | 非生物的ストレス耐性(寒冷) 品質(糖度、結実) 収量 養分利用効率(多量要素および微量要素) |
多くの農薬と混用ができ、作物が真のポテンシャルを発揮するのを助けます。
農薬散布時に「アンビション®G2」を組み合わせ複数回使用すると、作物の生育が健全化し、植物の潜在能力を引き出し、生産性と品質を高めることに貢献します。
※作物の圃場での生育は、環境要因によって異なります使用方法
散布で使用する場合は、10aあたりの本製品の使用量が100~200mℓとなるように希釈液を調製してご使用下さい。
| 作物 | 希釈倍数 | 水量 | 処理方法 |
|---|---|---|---|
| 稲 | 200~400倍 | 500mℓ/箱 | 灌注 |
| 1000~2000倍 | 100~200ℓ/10a | 散布 | |
| 麦類、豆類 | 1000~2000倍 | 100~200ℓ/10a | 散布 |
| 花き類 | |||
| 果樹類 | 2000~4000倍 | 200~700ℓ/10a | 散布 |
| 野菜類 | 200~1000倍 | 500mℓ/セルトレイ | 灌注 |
| 1000~2000倍 | 100~300ℓ/10a | 散布 |
使用上の注意
- ●有機物由来の沈殿やかたまりが見られることがありますので、使用前に容器をよく振って、丁寧に攪拌、希釈してから使用して下さい。
- ●使用量に合わせ処理液を調製し、調製後は速やかに使いきって下さい。
- ●開封後はなるべく早く使いきって下さい。
- ●農薬や肥料等と混用する場合は、事前に薬害や凝集・沈殿の有無を確認した上で使用して下さい。
- ●誤飲などのないように注意して下さい。
- ●眼に入った場合は直ちに水洗して下さい。眼の刺激が続く場合は眼科医の手当てをうけて下さい。
- ●皮膚に付着した場合は、石鹸でよく洗い落として下さい。
- ●直射日光をさけ、食品と区別して保管して下さい。
- ●凍結や高温条件をさけて乾燥した場所で密栓して保管して下さい。
- ●環境ストレスの少ない条件下では、バイオスティミュラントとしての効果が十分に得られないことがあります。
環境ストレス別 使用事例
健全性、収穫本数(きゅうり@山梨県)
作物 : きゅうり(VR夏すずみ)
定植 : 7月5日
試験規模 : 同一ハウスで各区10株3反復
処理 : 7月5日灌注(500倍)、7月19日・26日散布(1000倍)
草丈調査 : 7月31日 30株平均値(cm)
収穫調査 : 規格別に計数 30株8回収穫の合計
2L:>23cm、L:22-23cm、M:19-22cm、S:16-19cm
アンビション®G2試験区では、
草丈(無処理比102%)および
収穫正品本数
(無処理比108%)が増加し、
生育の促進および収量の向上が認められた。
高温ストレス耐性(ほうれんそう@高知県)
作物 : ほうれんそう(オーライ)
播種日 : 7月22日、128穴連穴ポット
栽培条件 : 8月5日〜19日ハウス内を20℃で管理、8月19日以降冷房を止め昼の最高温度が40℃を超える環境で栽培
処理 : 8月19日(本葉3枚程度)
処理方法 : 2000倍液十分量散布
高温条件下でアンビション®G2は
無処理に比べ、
欠株や下葉の枯死が少ない。


